ラベルデザイン.jpg

栽培者 愛農学園農業高等学校果樹部

愛農学園果樹部について

三重県伊賀市にある愛農学園農業高等学校は有機農業、持続可能な生活を学ぶ「日本一ちいさな農業学校」であり、僕の母校でもあります。今回使用しているブドウは愛農学園の果樹園で栽培された「バッファロー」という品種です。愛農学園では六つの部門が農場を管理しており、果樹園は「果樹部」が栽培管理、加工、販売を一貫して行っています。

 

3年間で生徒が入れ替わり、更新されていく学生に対して、果樹は何年もその地に根を張り生き続けます。果樹部員が手入れする樹たちは、自分が生まれる前から先輩が植え育ててきた樹であり、これから先も後輩に引き継がれていく樹だということになります。

在学当時果樹部員だった僕はこの話を聞いたとき、長い大きな時のテープの中に映る自分のイメージが沸き上がりました。自分より大きなスケールのものに触れたときの、こわいようなやすらぐような不思議な感覚が、卒業した今でも忘れられないほど強く印象に残っています。

 

このワインを醸造するにあたり、僕は今年も母校の果樹園を何度か尋ねました。そこにいたのは、僕の在学当時一年生だった後輩の三年生になった姿でした。僕の知る彼ら彼女らはもちろん当時から才能あふれる自慢の後輩でしたが、三年生になり、着こなした作業着に凛とした表情で園地に立つ姿からは、頼りがいのある先輩の風格を感じました。僕は彼ら彼女らの育てたブドウを預かる責任を再認識し、身を引き締めたことを思い出します。

 

学業の傍ら、部活の傍ら、寮生活の傍ら、果樹園に立ち仲間と農作業をする生徒たち、霧がかりをコンテナを担ぎ歩く朝の道、作業について友人と話し合う棚の下、夕食の話題で盛り上がりながら登る夕方のぬかるんだ坂、今日も果樹部員は果樹園での思い出を得ていることでしょう。ブドウにはもちろん目も耳もありませんが、悩んだり、喜んだり、失敗したり、成功したり、仲違いしたり、認めあったり、笑いあったり、そんなような感情をその年輪に、果実に刻み込まれているのではないか、僕はそんな気がしてなりません。

 

文.松森

仕込みについて

愛農のブドウは普段は生食用で販売しており、肉厚な歯ごたえと濃い甘みと香りが特長です。

在学中から食べ慣れたこの味が僕も大好きなので、飲んだ人が「これは愛農のブドウだ」としっかりわかるように、らしさを出すように醸造していこうと決めました。

収獲が八月中旬だったこと、醸造量が少ないこと、ゆっくりとした発酵で香りを伸ばしたかったことから、発酵は全工程を温度管理されたセラーの中で行いました。

初めて自分が担当する醸造であり、途中不安になったり悩んだりすることもありましたが、周囲の方々や醸造所に訪ねてきてくれた方にアドバイスをもらい納得のいく形に仕上げることが出来ました。皆様本当にありがとうございました。

 

ブドウ収穫期である夏休みを想起させるサイダーのような香りと、愛農のブドウらしい厚い渋みを備えた、正真正銘の「愛農らしい」ワインとなっています。

​文.松森

ぶどうデータ

品種/バッファロー

糖度/19.5度(比重から算出)

PH/3.34

栽培方法/無農薬有機栽培

​栽培者/愛農学園農業高等学校果樹部55期、56期

ワインデータ

​愛農ワイン「夕刻十八時」

アルコール度数/9度

内容量/375ml

醸造方法/セミマセラシオンカルボニック

​醸造者/松森空樹、助言していただいた皆様

​ 十八時

愛農高校のブドウで作ったワイン